日本代表のメンタリティ
昨夜というか今朝早く、ワールドカップの日本対ベルギー戦を観ました。
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終わって呆然としつつ眠りにつき、午後からの稽古のために目覚めると、やはりニュースは日本代表のことで持ちきりでした。
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いくつか読んだ中で特に心を動かされたニュースが2つありました。
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ひとつ目は本田圭佑選手のインタビューです。
「このワールドカップが終わったら人生が終わると仮定してみた。その場合、自分はどんな覚悟をして、周囲とどんな会話をしていくかを考えて行動した。」というような内容でした。
ワールドカップという究極の大会で、更に人生がそこで終わってしまうという精神的極限状況に自分を置いてみる。
本田選手ならではの壮絶なメンタリティだと思います。
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ある舞台に臨む時に、そこで人生が終わると仮定して準備したことがあるかと自問してみました。
道成寺の時は、本当にその危険性はありましたが、逆に「怪我はしても死ぬことまではあるまい」と考えていた記憶があります。
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今後大事な舞台に臨む時には、この本田圭佑選手の言葉を思い出してみたいと思いました。
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ふたつめは、ロッカールームの話です。
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ベルギーに惜敗してワールドカップを去った日本代表。
そのロッカールームを掃除しに行った大会関係者が見たのは、すでに綺麗に掃除されたロッカールームと、「スパシーバ」と書かれたメモ、そして日本代表のチームカラーの青い折り鶴だったそうなのです。
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今朝のあの歴史に残る激闘を終えた日本代表が、非常な悔しさの中で、ロッカールームを掃除する人のことまで気遣って行動していたとは。
こちらも驚くべきメンタリティだと思います。
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あのような状況で「後から掃除する人のことを考える」というのは、「想像力」が余程豊かでないと出来ないことです。
そしてそういう「誰かのことを思い遣る想像力」とは、我々能楽の世界においても最も大切なことのひとつなのです。
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日本代表のワールドカップは今回は終わってしまいました。
しかし私を含めて多くの人々が、日本代表に大切なことを色々と教えてもらった気がしております。