能と仕舞で変わること
仕舞や舞囃子、或いは素謡の稽古をした曲を、能楽堂で能として一曲を通して観るのは楽しくまた勉強になるものです。
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しかし時にはそこで驚いてしまう事があるのです。
「あれ?このクセは、私が稽古した仕舞と型がちょっと違う!」
とか、
「舞囃子で稽古した時の型付には無かった謡や型をやっている!」
或いは、
「作り物が大きくて、舞台がかなり狭くなっている!本当はこんなに小さなスペースで、あの仕舞が舞われていたのか!」
などなど。
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そして、能「熊野」もそのような曲のひとつです。
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先日書きましたが、仕舞としての「熊野クセ」は入門して間もない人が稽古する曲です。
ところが、能「熊野」を観に行って、「私はこの曲を初めて観るけれど、”クセ”だけは稽古したから良くわかるはず」と思って観ていると、クセの前半で「あれっ?」という驚きがあるのです。
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また、舞囃子としての「熊野」はかなり上級者向けです。
「イロエ掛かり中之舞」という特殊な始まり方の舞があり、舞アトの型も謡と合わせるのが難しいのです。
そしてこの舞囃子「熊野」を頑張って稽古した人が「私は”熊野”に関しては舞囃子までやったのだから、かなり良くわかっているはず」と思って能「熊野」を観ると、これまた良く知っているはずの舞囃子の部分で「あれあれ?私と全然違う事をやっている!」とちょっとビックリされるはずなのです。
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一曲の能から「舞囃子」や「仕舞」を作るにあたっては、登場人物が減ったり作り物が無くなる関係でどうしても無理が生じます。
その矛盾を解消するために、型を変えたり謡を省略したりすることがあるのです。
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そのようなアレンジを観能中に発見するとちょっと驚いてしまいます。
しかしそのアレンジの手法に「へ〜、成る程そう変えてくるのか!」と感心したりして、また楽しくもあるのです。
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そしてこの「能」と「舞囃子」と「仕舞」でそれぞれ違う顔を見せてくれる曲「熊野」が、来週末に京都で演じられます。
・第2回京都満次郎の会
6月9日(土)15時開場16時開演 於金剛能楽堂
能「熊野 膝行三段之舞」シテ辰巳満次郎 ワキ福王茂十郎 ツレ澤田宏司
仕舞「蝉丸」宝生和英 ほか
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私もツレを勤めさせていただきます。
「熊野」は昔からの人気曲で、初めて観る方でも楽しめます。
また仕舞や舞囃子や謡を稽古された方は、上記のような「驚き」や「感心」が必ずやあると思います。
皆さまどうか「京都満次郎の会」にお越しくださいませ。