「ワサビ」と「氷」と「正座」?
今日は宝生能楽堂にて「能プラスワン」に出演して参りました。
天候の悪い中をいらしていただいた皆様、誠にありがとうございました。
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今回は京都大学大学院薬学研究科の金子周司教授をお招きして、「正座による”痺れ”の感覚」について色々お話を伺いました。
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我々の体内にある感覚神経には通称「ワサビ受容体」という痛み刺激センサーが存在するそうです。
そして実は「ワサビが辛い!」という感覚と「氷が冷たい!」という感覚と、「正座で痺れて足が痛い!」という感覚は、全て同じこの「ワサビ受容体」によって感知されているそうなのです。
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つまり「ワサビ受容体」の働きを抑制する薬が出来れば、「正座による足の痛み」は解消されるわけです。
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この薬の研究は、本来は正座ではなく「糖尿病治療薬」や「抗がん剤」などの難病治療薬の開発に繋がるものであり、金子先生の研究室は京都大学の中でも最先端を行く研究室のひとつなのです。
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今回は時間の制約もあり、限られたテーマのお話しか伺えませんでした。
しかし金子先生は例えば「茶道・華道」の関係者に招かれて、「足の痺れにくい畳」の開発に向けた会合に参加されたりと、まだまだ色々興味深いお話がありそうです。
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また私としても、今回の「能プラスワン」でようやく初めて「正座」というものに本格的に眼を向けた気がします。
今回は接触できませんでしたが、「日本正座協会」という素敵な名称の組織があることも知りました。
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「正座」を研究して、最終的に「どんなに長く正座しても絶対に立てる方法」を確立するための私の旅は、まだ始まったばかりなのかもしれません。
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今後は金子先生とも交流を続けて、出来れば「日本正座協会」とも接触し、「正座」というものに色々な角度からより深く迫って行きたいと思っております。
今日いらしていただいた皆様には、また何らかの形で続報をお伝え出来ればと思います。
今日の金子周司先生のお話、とっても面白かったです。コンパクトながらも密度の濃いお話で、痛みを感じるメカニズムがとても良くわか(った気にな)りました。
正座のしびれから来る痛みは、ワサビやニンニクに加えて何とシナモンにまで反応するのと同じ受容体によるものだなんて!その原因は過酸化水素、つまり活性酸素なんですね。(活性酸素って、物理的な圧迫によっても、心理的なストレスによっても増えてしまうということなのですね。)
この研究成果によって、全く別の原因で生じた痛みの鎮痛剤を開発できる可能性があるなんて、驚きです。すごいですね!
それから、「痛みは不安によっても増すから、不安を取り除けば痛みは和らぐ」というお話も、日頃の小さなストレスから、難しい病気に至るまで、そうだなあ、と思いました。
痛みは知覚でありながら、感情でもあるということですよね。
だから、「足がしびれて立てないかもしれない」などと不安に思ったりせずに、ただ座る、ということなのですね。
澤田先生がそういうコメントをされるたびに、正座によるしびれとのたたかいの切実さがそこはかとなく漂ってきて、見所からは温かい笑いが起こっていましたね。
せっかく金子先生に、最先端の研究について質問させていただける機会でしたのに、内気な??私は、モタモタしているうちに機を逸してしまいました。
澤田先生にお言伝てで質問させていただいてしまうかも知れません。
金子先生、澤田先生、面白いお話をありがとうございました!
第二弾もぜひやっていただきたいです!楽しみにしています。