申合にかかる時間
今日は宝生能楽堂にて、五雲会の申合がありました。
能「金札」「吉野静」「須磨源氏」の3番です。
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能1番にかかる時間は30分程度の短いものから、120分を超える長いものまで様々あります。
しかし、「申合」にかかる時間というのは、実は本番の時間の長短とは全く対応していないことが多いのです。
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つまり、本番と申合がともに50分かかる曲もあれば、本番が90分かかるのに申合は45分で終わる曲もあるのです。
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申合では、いくつか省略する部分があります。
先ず省略するのは「中入」の部分です。これが大方15分くらい。
そして「曲の冒頭〜前シテの出」までも省略することが多いです。この部分も10〜15分ほどあります。
なので、多くの曲では本番の時間から30分を引くと、申合の大体の時間がわかります。
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しかし、中入が無い曲や、曲の最初にシテが出てくる曲などは、本番と申合が殆ど同じ時間になります。
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また省略部分が多い為に予想よりも早く申合が終わる曲もあり、経験則でそういう曲は覚えておくようにしております。
そして正に今日の五雲会申合での「金札」と「吉野静」が、予想外に早く申合が終わる曲だったのです。
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「金札」は、僅か28分で申合が終わりました。
続く「吉野静」も約35分で申合終了でした。
能2番の申合を終えて、約1時間しか経過していなかったのです。
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他の曲では、「岩船」「経政」「禅師曽我」「忠信」「鵜飼」「車僧」など何曲かが、30分前後で申合が終わります。
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申合の日には、前後に予定が入っていることもあるので、この「申合にかかる時間」というのを正しく把握しておくのもまた大事なことなのです。
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ちなみに明後日土曜日の五雲会本番では、能3番と狂言、休憩で4時間かかる予定です。
本番はどうかゆっくりとご覧いただき、「申合ではどこをやってどこを省略したのだろうか?」と想像してみるのも、またひとつの楽しみ方かもしれません。