方丈のようなワンルーム…?
能「加茂」の初同の謡「石川や 瀬見の小川の 清ければ 月も流れを 尋ねてぞ澄む」は、鴨長明の和歌の引用です。
その鴨長明は私の知識では、人生色々上手くいかなくて、50代で山に庵を結んで隠棲してしまったというちょっと気の毒な人です。
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糺の森の一角にある「河合神社」はその鴨長明ゆかりの神社であり、境内に長明が住んだという庵、「方丈」が復元されています。
広さは四畳半よりも少し大きい程度、分解組み立てが出来て、移動も可能です。
アメリカ原住民の「ティピー」や、モンゴル遊牧民の「ゲル」と比することも出来る、なかなかに機能的な住居だと思います。
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「方丈記」には、「ヤドカリは小さな貝を好むが、それは身の丈をわきまえているからだろう」というような表現がありました。
私も理想としてはそのように、無駄を極限まで排除したシンプルな生活がしてみたいと常々思っております。
鴨長明さん、色々苦労しながらも、実は自分に合った理想的なライフスタイルを見つけた人なのかもしれません。
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一方で今日の携帯ニュースで読んだのは「3畳ワンルーム」が都心で人気だという内容でした。
3畳とは、なんと鴨長明の「方丈」よりも遥かに小さいサイズです。
一番小さなビジネスホテルでも、そこまで狭いところは殆どありません。むしろカプセルホテルに近い感覚です。
そこで果たして「生活」出来るのでしょうか…。
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しかし、
○現代日本では、スマホ1台あればPCもテレビも本棚も必ずしも必要ではない。
○都心ならば食事は全て外食でも、バランスよく済ませることが可能である。
と考えれば、確かに居住スペースは殆ど要らない気がしてきます。
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意外にも都心で、「方丈」で暮らすようなシンプルライフが可能なのか…と思ったら、3畳ワンルームでも家賃は「10万円を切るくらい」はするそうなのです。
8〜9万円の家賃を払って、食事は全部外食…となると、隠棲どころかちゃんと真面目に働かないと生活出来ないですね。
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「現代版鴨長明」のような生活は、実は鎌倉時代よりも更に苦労が多いのかもしれません。。