耳の痛い話
今日は夜に国立能楽堂定例公演の能「忠度」の地謡に出演して参りました。
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今日の「忠度」もそうだったのですが、能の一番最初には、笛が「ヒシギ」と呼ばれる「ヒーヤー、ヒーッ!」という強く甲高い音を出してから始まる事が多いです。
そして、この「ヒシギ」を至近距離で聴くと、大変耳が痛いのです。。
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最も至近距離で聴くのは、地謡前例の一番右のポジションです。
そこは一番若手が座る場所でもあります。
私も能の地謡につき始めた頃は必ずその前例右端に座り、最初の「ヒシギ」を聴く度に耳がキーンとなって、暫くは聴こえ辛くなっていたものです。
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ある時、「ヒシギ」の間に息を吐くようにすると、耳の痛みが少なくなることがわかりました。
笛方が笛を構えたら、よく息を吸って準備します。
そして吹きそうになったら息をゆっくり細く吐いていくのです。
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「ゆっくり細く吐く」というのは、笛方によっては構えてからなかなか吹き出さない人もいるからです。
最初の頃は普通に吐いていたのですが、今にも吹き出しそうにされているのに、なかなか「ヒシギ」が始まらず、ちょうど私の息が無くなって、大きく息継ぎをした瞬間に「ヒーッ❗️」と来て、死ぬかと思った事がありました。。
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今では前例右端に座る事も少なくなりましたが、やはり能の始めには、よく息を吸ってゆっくり細く吐いていくのが習い性になっております。
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耳が痛いのと並んで痛いのが「正座の足の痛み」なのですが、これに関してはちょっとお知らせがありますので、また別の日に宣伝させていただきたいと思います。
今日はこれにて。