マグダレナ・ソレさんからのメール
今朝早くにメールの着信音が鳴りました。
この時間のメールは、ドイツの後輩からのことが多いのですが、朝起きて開いてみると全く違う人からでした。
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先月にニューヨークから遥々撮影にいらした、写真家のマグダレナ・ソレさんからのメールだったのです。
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「出来上がった写真はお送りします」と聞いて楽しみに待っておりました。
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先月の写真撮影は江古田稽古場で行われました。
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装束は松本稽古場の会員の古美術商の方からお借りした「色無唐織」と、京大宝生会の和裁が堪能な四回生が織ってくれた「箔」と「鬘帯」を着付けて、面は母親の旧知の方からお借りしている「深井」を掛けての撮影でした。
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これらは私が用意出来る唯一の装束です。
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もっと沢山の装束をお持ちの適切な方がおられるとは思いましたが、今回は是非ともこの撮影をお引き受けしたいと考えたのです。
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「私のホームページをご覧いただいての依頼であった」というのが第一の理由です。
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そして更に、上に記した唯一の装束セットは、昨年夏のブレーメン公演に際して様々な方との御縁で揃ったものであり、「縁あって揃った装束で、また新たな縁を作れる」というのがとても有り難い事に思えたからです。
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ソレさんからの今朝のメールには、「能楽という芸術に触れる大変印象的で素晴らしい経験が出来て心より感謝します」というような内容が書かれていて、何とか役目を果たせたかと安堵いたしました。
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願わくば今回の御縁がこの先も繋がって、またソレさんや仲介の日本人の方と何かお仕事が出来れば有り難いことです。
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ソレさんにお送りいただいた写真はとても沢山あるのですが、これらはまた何らかの方法で改めて皆様にご覧いただきたいと思っております。
写真、きれいですね!
貴重な装束や面は、どこにあっても後世に引き渡すためにたまたまその人の人生で一時的に預かられているものなのかなあ、と思います。人とのご縁もたまたまの授かりもの。そんなことを考えると、たまたまこの地上で時空を共有した人どうしの出会いが、時空を超えて受け継がれる能楽を通じて生まれるというのは、本当に素敵ですね。