中入のパターン
能のうちで「中入」がある曲は沢山あります。
更にそのうちの大半には「間狂言」があり、1人の狂言方がその曲に関する話をワキ方に10分ほど物語る、というパターンが最もよくみられます。
しかし中には違うパターンの曲もあり、作り物の出し入れで時間をとったり、狂言方2人若しくは狂言方とワキ方で寸劇のようなものをしたりする場合もあります。
あくまで私の好みですが、前者の狂言方の語りだけの中入よりも、後者の方が色々面白い気がいたします。
今日の五雲会で地謡を謡った能「小督」の中入はというと…
①まず前シテが中入。
②その後にワキがゆったりとした運びで中入。
③それに続いてツレ小督の局とツレ侍女が静々と登場。
④更に続けて作り物「片折戸」が後見2人によって舞台に出される。
⑤狂言方による短い台詞。
⑥ツレ小督の局の謡。
⑦地謡。
というように進み、ここまでで10分ちょっとかかるので、シテが装束を取り換えるのには充分な時間がとれるのです。
この小督の中入は、ストーリーに途切れが少なくて良く考えられていると思いました。
また五雲会最後の曲「黒塚」の中入は、シテ里女の寝室を見たがる狂言方と、それを止めるワキ方の寸劇です。
この寸劇が本当に面白く、昔大阪の舞台で、地謡が思わずニヤリとしているのを見たことがある程です。
他にも「烏帽子折」「橋弁慶」「船弁慶」「放下僧」などの中入は面白いと思います。
これらの曲を御覧になるチャンスがあれば、中入にも是非御注目くださいませ。