小鼓の独調会
今日は新橋の料亭で催された、小鼓の「独調の会」に出演して参りました。
8月初めの京都での太鼓の会、8月終わりの軽井沢での大鼓の会に続いて、今度は「小鼓」だけに合わせて1人(または2人)で謡う舞台でした。
澤風会、郁雲会からも5人の方々が出演され、高級料亭に似つかわしい華やかなお着物姿で、稽古の成果を存分に発揮されました。
小鼓という楽器は、能や舞囃子においては大鼓とペアになって、ひとくさりの内の前半を主に大鼓が、後半を主に小鼓が主導して囃します。
太鼓、大鼓、小鼓とそれぞれの独調を謡ってみて感じたのは、「小鼓の独調が一番難しい」ということでした。
前半を支配する大鼓がいない中で、どんな位でひとくさりを謡い始めるかは完全に「謡い手」に任されます。
謡の途中から入ってくる小鼓の手を聴いて、次のくさりの謡の位を決めていく、というのを何と例えたら良いでしょうか。
何か目をつぶって高い所から水に飛び込むような、水面に到達するまでの間に感じるであろう心許なさのような、そんな感覚を謡いながら繰り返し味わっていました。
しかしその難しさの分、また大変に勉強になりました。
料亭という普段縁遠い場所で、緋毛氈の上で金屏風を背にして謡うというのも、また新鮮な経験でした。
本日の会は、幸流小鼓方の曽和正博先生の古希の御祝の会でした。
曽和先生御目出度うございます。またお招きいただきどうもありがとうございました。