道成寺の鐘作り

今日は午後に能の申合が一番あり、その前後にみっちり道成寺の鐘作りという、少々濃い1日を過ごしました。

鐘作りは水道橋宝生能楽堂の内弟子時代に毎年していましたが、今回の作業メンバーはその頃の内弟子仲間3人で、ちょっと懐かしい思いもありました。

しかし道成寺の鐘というのは、数ある作り物の中でも断トツに手間のかかり、また絶対に失敗の許されない、正に作り物の最高峰なのです。

朝から気合を入れて、作り物倉庫に乗り込みました。

今回はしかも場所が水道橋ではない為、鐘の構造が細部で色々異なっています。

作り方を間違えると、最初からやり直しという恐れもあるので、慎重に作業を進めなければなりません。

とはいえ実は作業時間も限られていて、あまりゆっくりもしていられないという中々に難しいミッションでした。

ただそこは、内弟子時代に長年苦楽を共にした3人です。作業を始めると当時の呼吸がすぐによみがえってきて、「鋏ある?」「あ〜はいここに!」

「ここ、テープで仮留めしてもいいかな?」「うん、それいい考えじゃない!」

という感じで、チームで複雑なパズルを解くように、ゆっくりと着実に鐘作りが進んでいきました。

午後5時を過ぎて今日はタイムアップ。

それでも作業は7割方終わりました。

明後日の日曜日に再び残りを作って、更に道成寺本番当日にも仕上げの作業がある予定です。

毎回何かしら心に残る道成寺鐘作りですが、今回も思い出深いものになりそうです。

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