能「半蔀」のシテとは誰か?

今日は水道橋宝生能楽堂にて五雲会の申合があり、私の「半蔀」も先ほど終わりました。

いつものように色々な御注意を頂き、明後日の本番までに最終調整をもうひと頑張りしたいと思います。

今年シテを勤めた「兼平」と「百万」の時には、稽古と平行してシテの人物像に迫ろうと色々調べたりしました。

しかし今回の半蔀のシテ「夕顔」は、ちょっとその作業が難しいと感じています。

「夕顔の上」は人物名としては、「兼平」や「百万」よりも有名だと思います。

しかしながら能「半蔀」のシテは、「源氏物語の夕顔」と、「植物としての夕顔」が微妙に融合した、能固有の存在であると思われるのです。

私の考えたところでは、前シテの夕顔は「植物」の部分が主体であり、後シテは同じ夕顔でも「人間」の要素が強くなり、特に後半の「クセ」に入ってから以降は、完全に源氏物語の「夕顔の上」になっていると思います。

そしてまた序の舞が終わってからの最後のシーンでは、花なのか人なのか判然としない存在となって消えていくのです。

今回はこの曖昧な「夕顔」の輪郭はあえてはっきりと捉えずに、植物と人間の間で移ろうあわあわとした儚い空気感を、そのまま表現するような事が出来たらと思っております。

明後日の五雲会に皆様どうかいらしてくださいませ。

よろしくお願いいたします。

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