山桃と狸
一昨日土曜日の亀岡稽古では、夏の花々以外にもうひとつ写真を撮ってきたものがあります。
大きな山桃の木にたわわに実った果実が、地面に無数に落ちています。
辺りにはむせ返るほどの果実香が漂っていました。
実は亀岡稽古場の縁の下には狸の親子が住んでいて、夕方になるとこの山桃の実を食べに出てくるそうなのです。
稽古している小学生の男の子も、「こないだは5匹も見た!」と話しています。
これは是非見たい!と思って、稽古の合間合間に山桃の辺りを覗いてみたのですが、残念ながらその日は出てきてくれませんでした…。
「土日は狸も休みなのですかね…。」などと残念がっていると、なんとお弟子さんが綺麗な山桃の実を洗って持って来てくださいました。
そのまま口に含むと、微かな苦味と共に、爽やかな甘味とほのかな酸味が広がりました。やさしい自然の味です。
お弟子さん「赤ワインに漬けて食前酒にしたりしますね」。成る程、これは果実酒に向いていそうです。
狸には会えませんでしたが大満足いたしました。
…狸と言えば、能には「狸」という動物は登場しません。
しかし狂言には「隠狸」など何番か、狸が出てくる楽しい演目があります。
やはり狸は昔から、コミカルな役割を担う動物だったのでしょう。
そう言えば思い出したのですが、内弟子の頃にある会の番組で、仕舞「猩々」が間違えて「狸々」と書いてあったことがあり、皆で「たぬたぬ!」と読んでニヤニヤしたことがありました。
「七人狸々」とか見てみたいものですが、やはり能にはなりそうにありませんね…。