能「半蔀」の稽古
昨日は夜に能「半蔀」の稽古を受けて参りました。
稽古を受ける時には、型付から一通りの流れを覚えた後、更に自分の感覚での謡の位取りや、舞台上の細かい位置取りなどを決めておいてから臨みます。
それを叩き台にして稽古で色々ご注意をいただくのです。
よく「考えて謡や型をやっては駄目だ」という言葉を聞きますが、私の場合は深く考えずにやってしまった型や謡で注意を受けることが多い気がします。
例えば、半蔀のクセで打切の後に左前方に歩んで、「源氏この宿を見初めたまひし」と振り返って夕顔の宿の作り物を見る所。
私が左前方に出て行くと、「そんなに前に行くな」と言われました。
そこも私は「どれ位前に出るのが適切なのか、それは何故なのか」を考えずにやっている所でした。
型としては、光源氏が初めて夕顔の家を見つけるシーンを表現します。…という事は、作り物に近過ぎてもいけませんが、遠く離れ過ぎても印象がぼやけてしまいます。
またその後に大小前近くまで右回りをするので、やはり前に出過ぎると円が大きくなって、回る時間が足りなくなります。
舞台を思い浮かべながらそれらの要素をじっくり考えていると、自ずから左足をかけて振り返るべき位置が見えてくる気がします。
こういった作業を舞台全体、最初から最後まで細かく区切って行います。
更にそれらを繰り返し稽古することで身に付けて、何も考えずに無意識で出来るまでにするのが、私にとっての最終目的地なのです。つまり…
・型付通りやってはいるが深い考察が足りていないのが第一段階。
・色々考えた事を「こういう風にやろう」と思いながら稽古するのが第二段階。
・稽古した型や謡が自然に出せて、見所から観ると何も特別な事は考えていないように見える状態が最終段階。
だと私は考えます。
五雲会の本番まで後二週間足らず。
これから「半蔀」の世界により深く潜って考察して、当日の舞台までにそれらを型や謡に練り上げていきたいと思います。