こきりこ、ささら、玉すだれ

昨日は結局新幹線で6時間過ごして東京に到着しましたが、その後のニュースを見ると私はまだ幸運だったようです。新幹線で夜を明かした方々は本当にお疲れ様でした。。

東京に到着して田町稽古に直行しました。

いつも元気な韓国人留学生のSさんは、今は放下僧の小歌の仕舞を稽古しています。

そのSさんに質問されました。

「先生!こきりこって何ですか⁉︎」

え〜、「こきりこ」は楽器の一種で…と言いながらスマホで検索して、見せてあげた画像が「南京玉すだれ」の写真でした。

「こんな感じの筈です」「へ〜、わかりました!」

しかし稽古を続けながら、「こきりこと南京玉すだれはちょっと違うのだっけ?あれ、自然居士に出てくる”ささら”も関係あったような…」ともやもやしていました。

帰ってまた色々調べてみると、「こきりこ」「南京玉すだれ」「ささら」には思ったよりも複雑な関係がありました。先ず、

①こきりこ:中世に放下が携帯していた楽器。指の太さの竹を七尺五寸に切って、両手の指先に一本ずつ持ち、回しながら打ち鳴らす。

②ささら:竹の先を細かく割って、茶せんを長くしたような物を作り、これを「ささら子」という刻みをつけた細い棒でこすると「さらさら」と音がする道具。

…ということで、「こきりこ」と「ささら」は別物だとわかりました。ところが…

③こきりこささら:富山県五箇山の民謡「こきりこ節」に用いる楽器。108枚の木片と両端のグリップを紐で結びつけた形。両手で持って片手だけスナップをきかせると、木片が次々に衝突して「しゃらしゃら」と鳴る。

…なんと、「こきりこ」と「ささら」が融合した名前で、全く別の構造の楽器「こきりこささら」が存在しました。更に…

④南京玉すだれ:江戸末期頃に始まった大道芸のひとつ。当初の名前は「唐人阿蘭陀南京無双玉簾」で、「唐人、阿蘭陀、南京」が当時のハイカラの代名詞だった為に付けられた名前。「南京」には「南京玉すだれ」は存在しない。また「日本南京玉すだれ協会」は五箇山の「こきりこささら」が「南京玉すだれ」のルーツであると認定している。

…という訳で①②が融合した名前の③から、更に④が発生したという事のようです。

とてもややこしいですが、とりあえず確かなのは、能「放下僧」の小歌に出てくる「こきりこ」の説明は①でした。

Sさんごめんなさい。次回の田町稽古で訂正させていただきます。

そして、④の南京玉すだれの映像を観たのですが、これが大変面白かったのです。個人的に是非習ってみたいと思いました。

「日本南京玉すだれ協会」に問い合わせてみようかと、半ば本気で思っております。

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