花かつみ

先日書いた東京の「隙間花壇」のシャガは既に花が終わっていましたが、今日京都の少し北の方ではまだシャガが満開でした。

京大宝生会の学生に興味深いことを聞いたのですが、「花かつみ」とはこのシャガのことを言うのだそうなのです。

「陸奥の安積の沼の花かつみ」とは、能「花筺」のいわゆるクルイの部分のシテ謡ですが、この花かつみがシャガのことだとは、全く思いもよらないことでした。

しかしちょっと調べてみると、更に面白いことがわかりました。

「花かつみ」が何の花なのかは実は諸説あって、松尾芭蕉などは奥の細道の中で、「かつみかつみと尋ね歩き」、日暮れまで探しても結局何の花かわからなかったそうです。

他にも「かきつばた」が花かつみである、という説や、「まこも」という植物がそうである、という説もあり、その中で「安積の沼」の地元である郡山市がシャガの一種である「ヒメシャガ」を「ハナカツミ」として市の花に指定した、ということらしいのです。

花筺のシテ照日の前が、継体天皇の花筺を手に越前から大和国に向かったのは秋ですが、継体天皇が皇子だった頃に日々天照大神に捧げた花の中に、ヒメシャガが入っていた可能性は十分にあります。

花筺クルイを舞う時に、ひとつのイメージとして花筺の中のヒメシャガを想像して舞うのも、また良いかも知れないと思いました。

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