舞台の翌日
舞台の翌日に疲れが残っていることはよくあります。特に能のシテの次の日はそうです。
身体的な疲労感は勿論なのですが、心の中でシテの人格が抜けてしまった空虚感というか、表現の難しい脱力感で暫しぼんやりとしてしまうことがあり、今回の百万がそんな感じなのです。
巻絹のシテの最後はこんな状態かもしれません。
これは通常の稽古や他の舞台をすることで徐々に解消出来るものなのですが、今日は久しぶりの休みだったので散歩と公園での読書で過ごして、ようやく現実に戻って参りました。
明日からまた頑張って稽古に舞台に励みたいと思います。散歩の途中で珍しい薄緑色の桜が咲いていました。
読書は梨木香歩さんの「からくりからくさ」でした。
能面も重要なモチーフになっていて、「何かを伝えていくこと」「自分の根っこを見失わずに、勇気を出して変わっていくこと」といったテーマが丁寧な文章で書かれた作品で、深い余韻を残して終わりました。