申合の意味
今日は水道橋の宝生能楽堂にて、五雲会の申合があり、能「百万」も先ほど終了いたしました。
申合では、「無事終わった」という言い方は適切ではありません。
能楽における「申合」という言葉は、本番前に出演者全員がただ一度だけ集まり、本番に近い形で舞台をやってみて、調整したり直したりする必要がある事項を皆で「申し合わせる」という意味を持ちます。
たった一度の全員集合の機会で、全てが本番同様、想定通りに「無事」終わることはあり得ません。申合を踏まえて、本番までに改善できる要素は必ずあります。
なので、「緊張してよく覚えていませんでした」などということはあってはならず、寧ろ初めてお相手する地謡方の調子や位、囃子方の手組や舞の寸法、またワキ方や子方との掛け合い等々を、一瞬毎に冷静に確認しながら舞台を進めていきます。
そして比較的若い楽師中心の舞台である「五雲会」の場合、特に私のような未熟な若手の役者にとっては、申合の後に先輩方からいただく沢山の注意点がとても重要な意味を持ちます。
これら全てのことを考慮して修正し、「申し合わせた」事柄が本番でその通りに出来た時に初めて「無事に終わった」と言えるのだと思います。
明後日の本番が納得できる舞台になるように、もうひと頑張りいたします。
皆さまどうか明後日は五雲会にお越しくださいませ。
宝生流五雲会:4月15日正午始 於宝生能楽堂
お問合せ℡03-3811-4843宝生会