桜守
能「田村」の前シテは、清水寺の桜の下で自分を「花守」だと言います。
「いつも花の頃は木陰を清め、明け暮れ木陰に」いるので花守と言うのだ、と。
現代においては「桜守」という人々がいて、これは花の時期に限らず、年間を通して桜の成育や手入れ、看病などの世話をする職人さんのことだそうです。
最も著名な桜守は、京都嵯峨野に代々続く造園家の「佐野藤右衛門」さんです。
有名な円山公園の枝垂れ桜も佐野藤右衛門さんの育てたものです。
この佐野藤右衛門さんの枝垂れ桜が、実は大山崎稽古場の宝寺にもあるのです。まだ小さい木ですが、毎年綺麗な花を咲かせます。
今年は花が遅いので、まだ下の写真のように蕾が固い感じです。
しかし二週間後にある珍しい追儺式の「鬼くすべ」の頃には満開になっているかと思われます。
「鬼くすべ」はまた別稿で詳しく書きますが、毎年4月18日の14時頃から宝寺本堂で行われる儀式です。
宝生流の謡の奉納もあります。お時間のある方は是非お越しいただき、桜守が育てたという枝垂れ桜も御堪能いただければと思います。