二枚の鏡板の話 その4
・鏡板、京都へ
その先の展開は、全く非現実的な程にとんとん拍子に話が進みました。
鏡板のサイズは、上下左右ともに京大新BOXの壁にぴったりでした。
大学側や他の能楽部の人達は「どうぞ自由に取り付けてください」との事(この京大全体を包む大らかな雰囲気が大好きなのです)。
鏡板の解体は、業者さんがなんと無償でやってくれる事に。但し梱包と輸送は自力でやる必要がありました。
そして澤風会十周年大会の稽古に明け暮れる日々に、何故かぽっかりと予定の空いた9月1日。
私はレンタカーの2tトラックを運転して、サポートしてくれる京大宝生会の現役2人(当時2回生のEさん、当時1回生のK君)と共に練馬の渡雲会舞台に向かいました。
3人で鏡板を大事に梱包して荷台に積み込み、昼前にいよいよ京都に向けて出発。
途中東名高速でゲリラ豪雨にあったりしましたが、3人で励ましあっての10時間程の東海道珍道中(?)の末、2tトラックは22時頃に無事京大新BOXに辿り着いたのでした。
夜更けのBOXでは現役部員たちが待っていてくれて、鏡板は大切に地下のBOX舞台に運ばれました。
色々な事が不思議に上手く運んで、鏡板は京大新BOXに到着しました。これはやはり渡辺先生が「鏡板、大事に持って行くんだよ」と、どこかでお力をお貸し下さったのだと思います。
(続く。思ったよりも長い話になりました。次回でこの話は終わりです。)