スマホでの遠隔稽古の試み

今回のコロナウイルスでは、こちらの予測と対策を嘲笑うかのように、事態は日々悪い方向へと進んでいくようです。

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通常の稽古は最早望むべくもありません。

しかもこの状況がいつまで続くのか、誰にもわからないのです。

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しかし何もせずに、ただウイルスに押さえつけられるだけでは口惜しいものがあります。

私は「スマートフォン」を使った遠隔稽古を模索することにいたしました。

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今日はその手始めとして、

①Dropbox

②YouTube

③Skype

という3つのアプリを使ってみました。

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①のDropboxを使うと、録音した音源を大勢で共有できます。

京大宝生会で今稽古している仕舞の地謡を、私が一曲ずつ謡ってスマホに録音しました。

それをDropboxの中にアップロードして、京大宝生会部長にリンク先をメールで送りました。

仕舞6番を録音してアップロードするのに40分ほどかかりました。

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②YouTubeは、江古田稽古場のパワフルでポジティブなボイストレーナーさんに勧めていただきました。

特定のグループで動画を共有できます。

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今日は松本の初級者向け謡「田村」を私があしらいながら謡っている動画をスマホで撮影しました。

張り扇の動きが見えるので、より稽古に近い形態になりました。

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そしてやはりそのリンク先を松本の初級者組の皆さんにメールしました。

こちらの作業時間は30分ほどでした。

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更に、

③Skypeを使うとスマホの画面で対面しながらの稽古が可能なのです。

こちらは松本稽古場の方に勧めていただいて、先ほどその方と遠隔稽古の試運転を行いました。

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田村の後クセ上げ〜クセの留までを鸚鵡返ししてみたのです。

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若干のタイムラグがあり、最初は違和感を感じました。

しかし、その時間差にも、回数を重ねれば徐々に慣れることが出来ると思いました。

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今日1日で3種類の”遠隔稽古”の可能性が見えて、少しホッといたしました。

あとは稽古対象を如何に広げていけるかが課題です。

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人によって、3種類の方法を使い分けていけたらと考えております。

私なりの方法で、コロナウイルスに負けないように進んで参りたいと思います。

この災厄を乗り切った時

3月が間もなく過ぎようとしています。

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この1ヶ月で事態は好転することなく、むしろ悪化していくばかりでした。

私の周囲に限っても、澤風会稽古は京都、江古田、田町で一回ずつ出来ただけ。

京大宝生会は、新歓活動どころか部としての活動も当面の間自粛が求められてしまいました。

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この状況で前を向いて生きていくのは非常に困難です。

しかし、出来ることはあると思います。

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とにかく今は一人一人が自分の健康に気をつけること。

これが何より最優先です。

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そして能楽に関して言えば、録音や録画を元に1人でも稽古が出来ます。

むしろ1人だけで謡う経験を積むことで、それまでよりも上達出来る可能性すらあるのです。

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特に京大宝生会現役の皆さんは、最近習ったばかりの何曲かを1人で通して謡ってみてください。

習った記憶があるうちに謡うのはとても効果的な稽古になるのです。

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この大きな災厄を乗り切って、再び皆で集まった時に、それぞれが驚くほど上達していたとしたら。

そんな光景を見られることを願って、今は悪化する状況の中でもがきながら、何とか進んで行きたいと思っております。

節分の京都稽古

今日は京都紫明荘組稽古でした。

いつものように朝の地下鉄日比谷線は殺人的混雑でしたが、東京駅と新幹線車内はいつになく空いていると感じました。

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そして京都の「ゲストハウス月と」に到着して亭主さんに伺うと、やはり新型肺炎の影響で京都の観光客は激減しているとのことでした。

最初にいらした会員さんも、

「錦市場に人が少なくて、すいすい通れてびっくりしました!」

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なるほど。それはちょっと有り難い面もありますが、節分の日の観光客を期待している方々は大変なのだと思います。。

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紫明荘稽古の後は京大宝生会稽古に行きました。

今は吉田神社の節分祭が開催されていて、そこで購入した面を掛けた人の舞も披露され…

今日も賑やかに稽古を終えることが出来ました。

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順番は逆になりますが、今朝は富士山に珍しい雲がかかっておりました。

ちょうど富士山と上下対称に見えたのです。

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世間は色々騒がしいですが、今日の京都稽古は節分を祝うように穏やかに終始いたしました。

披露宴での嬉しい再会

昨日の佐野弘宜さん結婚披露宴の時のことです。

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高砂の新郎新婦の後ろに友人達が並んで記念撮影をする時間になりました。

グループになって次々と入れ替わって撮影していきます。

あるグループの時に壇上をふと見ると、大半が知らない人でしたが中に1人だけ、どこかでお会いした顔がありました。

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すぐには思い出せず、「誰だったかな…」

と思いながら目の前の美味しいオードブルに顔を戻して、さあ食べようとしたところで、

「澤田先生!」

と後ろから声がかかりました。

振り返ると先ほどの壇上の方です。私はその声ですぐに思い出しました。

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このホームページを始めた頃に、京都で稽古していた男の子とお母さんがいて、そのお母さんのほうだったのです。

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元々佐野弘宜さんのお弟子さんで、お仕事の関係で京都に引っ越されたのを機に私の稽古場にいらしたのです。

その後また関東に帰られて、再び佐野弘宜さんの元で稽古をされていると聞いておりました。

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聞けば男の子もちゃんと稽古を続けていて、今は「胡蝶」の仕舞をしているとのことでした。

最初の頃のブログで、その男の子が「レッド五雲扇」を選んだことを書いたのです。

そして今でもその「レッド扇」で稽古してくれているそうです。

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お母さん「あの子が将来先生の大学のクラブに入ってくれたらと思っています!」

おお!12〜3年後の京大宝生会新入生候補ですね。

それはとても楽しみです!

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目出度い披露宴で思いもよらぬ再会があり、二重に嬉しい日になりました。

2020年の初稽古

今日は今年の仕事始めの京都紫明荘組稽古でした。

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月曜朝の日比谷線は普段通りの猛烈なラッシュで、正月気分が一気に吹き飛びました。

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電車を乗り継いでようやく京都の「ゲストハウス 月と」に到着したのですが、11時半頃までどなたもいらっしゃる気配がありません。。

「そう言えば、去年の正月明けの初稽古も、人が少なかったな…」

と思い出しました。

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亭主さんにいただいた”ドライフルーツ入り羊羹”と珈琲を美味しくいただきつつ、のんびりと待っていました。

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すると11時半過ぎから人が集まり出して、結局10人程の方と稽古することが出来ました。

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今年卒業予定の京大新OBも1人来てくれて、また稽古場が賑やかになりました。

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夕方に稽古を終えて、すぐに京大宝生会へ。

現役の皆と新しい仕舞を稽古しました。

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これまでとガラッと違う雰囲気の仕舞を選択する部員が多く、教える方も新鮮な気持ちになりました。

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…新年早々、国際情勢の深刻なニュースや、大規模森林火災の悲惨な報道などがありました。

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私にはやはり世界のために出来る事など殆どありませんが、今年も世の中の平和を願いながら、稽古と舞台に努めて参りたいと思います。

1件のコメント

1年分まとめて…

一昨日松本稽古から帰り、今年の稽古も全て終えて、やれやれと早めに休みました。

そして一夜明けて昨日の朝…

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布団の中で目覚めると、なんだか身体が熱くて怠く、節々が痛みます。。

つまり完全に「熱がある」状態だったのです。

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前日まで元気で、他に喉や鼻など風邪の症状も全くありません。ただ熱が高いだけでした。

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実は昨日は「京大宝生会謡納め」に行く予定で、松本で色々お土産まで買って準備万端だったのです。

でも無理して行ってもし風邪だったら、皆にうつしてしまいます。

泣く泣く断念して、そのまま布団で休むことにしました。

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そしてそれからつい先程まで、食事の時間を除いてほぼ30時間、ひたすらこんこんと眠り続けてしまったのです。

おかげで熱も下がったようですが、ここまで長時間寝られたことに驚きました。

今までの人生で最長記録かもしれません。

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1年間健康で仕事を終えることができた途端に、1年分の不調が”熱”になって出てきて、それを1年分の休養で治したということなのでしょうか…。

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ともあれ、熱は下がって健康体に戻ったので、あとは部屋の掃除を頑張って新年を迎えたいと思います。

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京大へのお土産だった”信州ジビエの燻製3種”

は、今回はお正月に自分でいただこうかと思います。

京大の皆さんごめんなさい、またの機会に必ず持って行きますね。

関西宝連”謎かけ”

日曜日の「関西宝連」の後席でのことです。

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各大学の卒業生が交代で挨拶をすることになりました。

するとある卒業生が冒頭で、

「実は関西宝連に関する”謎かけ”を考えたのですが…」

と始めたのです。

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それは面白そうだなと思った次の瞬間…

「やっぱりやめておきます!」

ガクッとなりました。。

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挨拶を終えて席に戻って来たその卒業生に、

「”謎かけ”とても気になります!言えば良かったのに!」

と残念そうに言ったところ、なんと昨日このホームページのお問合せフォームを使って”謎かけ”を送って来てくれたのです。

その内容は…

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「今年春の関西宝連とかけまして、今回の卒業仕舞と解きます。その心は、どちらもいいはんのう(半能、反応)があったでしょう」でした。

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そう、今年の5月に開催された「春の関西宝連」は「第120回記念京宝連大会」でもあり、記念の半能「高砂」が演じられました。

そして他ならぬ”謎かけ”を考えた卒業生が、その「高砂」のシテを勤めたのです。

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今年の春秋の関西宝連を上手く繋げた”謎かけ”、笑点ならば「座布団1枚持って来て!」となるところでしょう。

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謎かけの内容が聞けて、すっきりしました。

卒業生さんありがとうございました。

卒業してもこのセンスを活かして頑張ってくださいね。

魂のこもった卒業仕舞

2019年冬の「関西宝生流学生能楽連盟自演会」は、おかげさまで無事に終了いたしました。

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例によって書きたい事は山積しています。

やはり先ずは京大宝生会のことを書かせていただきます。

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今日最初の出番は素謡「杜若」、最後の出番は仕舞「蟬丸」でした。

それら全ての舞台において、京大宝生会は非常な緊張感を持続しつつ、稽古したことを稽古した通りに発揮してくれました。

私の視点ではほぼミスは無かったと思います。

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番組を見るだけではわからないのですが、彼らは「自分の仕舞」、「誰かの仕舞の地謡、地頭」、「受付や”めくり”などの運営業務」、「素謡の役」、「素謡の地頭」…

と言った複数の要素を一日中、目まぐるしくこなしているのです。

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特に終盤の3、4回生ゾーンでは、難曲のシテと地謡が交替でやって来ます。

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同じように舞台を勤める身として見ると、それらの働きは”超人的”と言って良いのだと思います。

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その激務の最後に行われた、今回で現役を引退する4回生の「卒業仕舞」。

それはそれぞれの4年間の重みが集約されているような舞台で、見ていて心が震えました。

魂のこもった舞台でした。

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この人達を稽古出来たことは幸せだった。

もし叶うならば、この先もこの人達と稽古していきたい。

そう心から思いました。

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関西宝連の続報はまた書かせていただきます。

今日はこれにて失礼いたします。

服装に例えると…

最近ブログの更新が出来ない日が多かったので、今日はもう一度書かせていただきます。

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昨日の京大稽古で、「杜若」の謡を聴きました。

私は仕舞の稽古担当なので、あくまでも「聴くだけ」で、目立った点だけをアドバイスするというスタンスです。

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「杜若」という曲は、三番目物なので全体に綺麗に、淑やかな雰囲気で謡うべきだと思います。

しかしながら、その心持ちだけでは全部同じ謡になってしまい、抑揚が無くなってなんとなく「眠たい謡」になってしまいます。

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昨日気になったのは「クリ、サシ、クセ」と続く謡の「クリ」の部分でした。

優雅にゆったりと謡っていたのですが、その直前の「イロエ前」の謡と、直後の「サシ」の謡との差があまり無いように聞こえました。

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三番目なので例えば女性の服装に例えると、綺麗な服は一杯ありますが、その「綺麗さ」にはまた多くのバリエーションがあると思うのです。

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「クリ」の謡は春夏に着る、明るい彩りで模様もあるちょっと華やかな服。

「サシ」は秋冬に身につける少し落ち着いた色使いの服。

「クセ」は派手すぎない上品な和服。

というイメージでしょうか…。

そして「イロエ前」と「序之舞前」の謡は繊細な、例えれば”フォーマルなドレス”という雰囲気だと思います。

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…かえってわかりにくいかも知れませんが、明日の京大の「杜若」では、「色々な種類の綺麗さ」を舞台上で表現してもらえたらと思います。

2019年最後の五雲会

昨日は京大稽古の後に最終の新幹線で東京へ。

そして今日は午後から水道橋宝生能楽堂にて開催された「五雲会」に出勤いたしました。

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私は能「融」の地謡を勤めました。

いつもながら、この「融」という曲の完成度の高さには感銘を受けます。

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特に”田子”という潮を汲む桶を扱うシテの所作と、その”田子”の舞台上での形態変化は、何度見ても目を奪われてしまいます。

いつか演じてみたい曲です。

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この「融」の地謡で、今年の私の宝生能楽堂での舞台は全て無事に終わりました。

ちょっと気が早いのですが、来年まで会わない楽師達に「良いお年をお迎えください!」

と挨拶して能楽堂を後にしました。

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そしてその足で東京駅に向かい、京都への新幹線に乗りました。

明日は朝から香里能楽堂にて「関西宝生流学生能楽連盟自演会」です。

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関西宝連の学生さん達は今頃、ドキドキしながら明日の準備をしていることでしょう。

どうか良い舞台になりますように。

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私も京都に着いたら早く休んで明日に備えたいと思います。