船場能「経政」に出演して参りました

今日は大阪船場にある「坐摩神社」にて「第2回船場能」に出演して参りました。

番組は辰巳満次郎師による能「経政」でした。

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「坐摩神社」と書いて、何と読むかすぐにわかる人は余程の大阪通だと思われます。

これで「いかすりじんじゃ」と読むのです。

“摂津国一宮”で、とても古い歴史を持つ神社だそうです。

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船場は大阪町人文化の中心地であり、おそらく江戸時代には能楽も多く演じられたに違いありません。

その頃御屋敷や御座敷の中では、燭台の灯りで能を演じることが多かっただろうということで、今日は舞台の四隅に4本の燭台を置いて、”蝋燭能”の形式で「経政」が演じられました。

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そもそも「経政」では、燭台の灯火の中で管絃講が行われている所に経政の霊が現れるわけで、今日の演出はストーリーにぴったり合っていたわけです。

見所のお客様達は、ひと時タイムスリップして、当時の旦那衆が楽しんだのと同じ感覚で能を体感していただけたのではないでしょうか。

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「船場能」が終わると私はすぐに京大稽古に移動しました。

来月12月16日に香里能楽堂にて開催される関西宝連の稽古をしたのですが、最後には能「経政」を稽古して終えました。

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今日は経政に始まって経政で終わる1日だったのです。

2018能と狂言の会、無事に終了しました

今朝から開催された京大能楽部「能と狂言の会」はおかげさまで無事に終了致しました。

心に残ったことをいくつか。

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最初の方に宝生会の全体素謡「経政」があり、金剛会の仕舞1番を挟んですぐに宝生会の1、2回生素謡「土蜘」がありました。

この2曲はどちらも無本でした。

「経政」は能地そのままなので、さすがの安定感でしたが、1、2回生はそのすぐ後の「土蜘」を良く頑張ったと思います。

地頭の声によく合わせて、役もそれぞれ大きな声で、とても好感の持てる謡でした。

長時間の正座も問題無く、皆無事に立って帰っていました。

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途中大阪大学喜多会と、京大観世会の招待仕舞がありました。

宝生流、金剛流と合わせて4流の仕舞を比較して見られたのは中々面白かったです。

作法なども、流儀によって主張が微妙に違うのがわかりました。

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宝生会の仕舞では、やはり自分に合った大きさの紋付袴で舞うのが良いと改めて思いました。

前回の舞台で長い袴だった部員が、丁度良い丈の袴で舞っているのを見ると、実力も数段上に見えました。

部員全員が、自分に合った紋付袴を何とか見つけてもらいたいものです。

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宝生会最後の演目は舞囃子「花月」でした。

辰巳家から拝借した”羯鼓”をシテに付ける時、紐を結ぼうと袴の背板を少しめくったところ、背板に「芳」というネームが入っていました。

この袴は小川芳先生からいただいたものだったのですね。

そして”羯鼓”の箱には、「平成8年倉本雅」と書いてありました。

小川先生の袴をはいて、倉本先生が寄贈された羯鼓を付けて、シテ4回生Nさんは現役生活の集大成である舞囃子「花月」を小気味よく元気一杯に舞ってくれました。

小川先生や倉本先生もきっと喜んでくださったと思います。

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他にも印象に残る仕舞がいくつもあったのですが、全部は書ききれないので、これから信州料理屋”お狩場”で始まる後席で直接彼らに話そうと思います。

少しでも直すと…

今日の京大稽古は、来週月曜日の11月12日に迫った自演会「能と狂言の会」前の、最後の仕上げの稽古でした。

16時半過ぎにBOXに到着してから稽古を始めて、全て終わって時計を見ると23時をまわっていました。

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ずっと以前に、坪光松二先生の後を引き継いで現役の謡の稽古を始められた頃の米澤郁雄さんが仰られた言葉を今日思い出しました。

「現役達は、僕が少しでも謡を直すと本当に直したその通りに謡うので、ちょっと恐ろしくなりました。」

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つまり、教える側は僅かの間違いや曖昧さも許されないということで、これは中々のプレッシャーなのです。

そして私は今日現役達の仕舞の稽古で、米澤先輩と同じことを感じたのです。

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本番前の最後の稽古で、各人殆ど仕上がった状態の仕舞です。

おそらく急に修正しても直らないかもしれないと思い、「長期的に直れば良いので…」と前置きしてから直したことでも、現役達は即座に、驚くほど正確に修正してくれるのです。

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「この対応力は何なのだろう…」と内心半ば驚愕しながら、プレッシャーを感じつつ稽古をしました。

そして本番直前とは言え、もう直したいところは全部言ってしまおう!

と決意して稽古した結果、稽古終了時間が23時超えになった訳です。

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プレッシャーがかかる分、実に充実した稽古でもあり、彼らと稽古出来る喜びを今日も感じつつBOXを後にしたのでした。

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京大自演会「能と狂言の会」

11月12日朝9時始曲・金剛能楽堂

です。皆さま現役達の稽古の成果を是非ご覧くださいませ。

よろしくお願いいたします。

舞って謡って、謡って舞って

今日は朝から水道橋宝生能楽堂にて、辰巳満次郎師のお社中会「あまねく会」に出演して参りました。

大ベテランの方から初舞台の方まで、大変に熱気のある舞台でした。

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私の大先輩である、京大宝生東京OB会の皆様も大勢参加されていましたが、今日は驚くべきことがありました。

皆さん実に精力的に、1人で何度も舞台に出ておられたのです。

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それも「仕舞杜若クセシテ→直後の舞囃子梅枝地謡」とか、「舞囃子梅枝地謡→直後の舞囃子安宅シテ(!)」、また「能班女シテ→素謡善知鳥地謡→舞囃子藤戸地謡」など、ある意味で限界に挑戦するかのようなハードな出演のされ方です。

一番多い先輩では「舞囃子安宅地謡→素謡鵺地謡→素謡大原御幸シテ→舞囃子藤戸シテ」と4回も舞台に出られて、その全てが非常にレベルの高いものでした。

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また能「班女」は本当に見事な舞台で、謡も立ち居の姿も実に美しく、地謡で「良いなぁ」と思いながら拝見しておりました。

因みに「班女」の地謡の前列も全員京大OBの方々でした。

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現役時代から長い長い間稽古を積まれて、今なおその先を目指して厳しく研鑽されている京大宝生会の先輩達。

班女のシテを舞われた先輩は、後席でもう今後舞いたい能の候補のお話をされていました。

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OBの皆さんの底知れないパワーを再認識して、嬉しくなった本日の「あまねく会」でした。

京大「能と狂言の会」申合→京大稽古へ

今日は昼間に京大能楽部自演会「能と狂言の会」の申合がありました。

今回宝生会からは舞囃子「花月」が出ます。

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授業や実験、実習などで忙しい部員達がなんとか集まっての申合でしたが、苦心の甲斐あって有意義な申合になりました。

あとはこの申合で明らかになった問題点を微調整して、本番に臨むだけです。

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その後、夕方からは京大BOXに宝生会の稽古に行きました。

舞囃子以外にも、沢山の仕舞が出るのです。

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上回生は、学校や就活なども忙しい上に仕舞の難易度が高く、更に他の人の仕舞の地謡が大量にあるので非常に大変だと思います。

しかしその大変さを表に全く出さずに明るく稽古しているので、とても立派だといつも感心しています。

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そういえば先月の稽古で、急に上手になったと感じた部員がいて、「ちょっと見ない間に上達したねえ」と感じたままを近くの部員に言ったところ、その部員がしみじみと「彼女はすごく稽古してましたから…」と言ったのです。

私の知らないところで、皆それぞれ大変な日常を過ごしつつ、とても努力して稽古しているのでしょう。

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そして彼らは相変わらず、ちゃんと楽しいイベントもやっているようです。

一昨日のハロウィンには、4回生O君の下宿で「仮装無しのハロウィンパーティ」をやってアイルランド料理やお菓子などを大量に作ったそうです。

今日の稽古の帰りがけに、なんと私にもお裾分けがありました。


コウモリやカボチャや猫などの形に焼いたクッキーです。

新幹線で有り難くいただきたいと思います。

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とにかく何事においても頑張っている京大宝生会。

彼らの稽古における努力の成果が披露される自演会「能と狂言の会」は、京都金剛能楽堂にて11月12日(月)朝9時始曲です。

皆様どうかご来場くださいませ。

よろしくお願いいたします。

大山崎ウォーキングから京大稽古へ

昨日の第13回澤風会京都大会はおかげさまで無事に終了いたしました。

お世話になりました先生方、会員の皆様、またたくさんいらしていただいたお客様方に心より御礼申し上げます。

どうもありがとうございました。

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今朝は眠い目をこすりながら阪急電車に乗って、大山崎に向かうました。

普段は稽古で降りる大山崎駅から出発して、今日は大山崎の名所ウォーキングだったのです。

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千利休が建てた国宝の茶室「待庵」の精巧なレプリカや、様々な知恵と趣向を凝らした名建築である「聴竹居」などを、大山崎ふるさとガイドの会のメンバーでもある会員の方に案内していただき、非常に有意義な時間を過ごしました。

「聴竹居」のことはまた改めて書きたいと思います。

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その後夕方に京大宝生会の稽古に行き、21時まできっちり稽古して、これから最終新幹線で東京に戻ります。

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流石に少々眠いです。

明日から、働きながらぼちぼち疲れを取って参りたいと思います。

第13回澤風会京都大会無事終了いたしました

本日おかげさまで第13回澤風会京都大会が無事に終了いたしました。

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終了後の宴会で、澤風会の舞台で頑張られた皆さまと楽しくお話ししたのですが、早速「次の謡は○○をお願いします!」

とか、「次の仕舞は△△でそれが終わったら次は××でお願いします!」

などと言って来られる方がいらして嬉しく思いました。

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ただ、今夜の私の記憶は明朝まで保たない恐れが大なので、また次の稽古からぼちぼち再スタートさせていただければと思います。

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本日お世話になりました全ての皆様に心より御礼申し上げます。

今回もどうもありがとうございました。

自転車操業中です…

今日は朝東京を出て、10時半頃には京都丹波橋にて紫明荘組稽古を開始。

夕方終えて京大に移動して、先ほどまで稽古しました。

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紫明荘組と京大の合間には、新しい稽古場候補のとても良い感じの古民家ゲストハウスを見学したりもしました。

その辺の話を詳しく書きたいところなのですが、明日は朝から香里能楽堂にて京阪神巽会、明後日には名古屋で和久荘太郎さんの”演能空間”の舞台が控えていて、若干追い詰められている状況です。

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今日はこれにて失礼させていただき、小本と睨めっこして謡の世界に突入して参りたいと思います。。

文化祭の出し物は…?

今日は8月末以来久しぶりの江古田稽古でした。

「9月も下旬になれば涼しくなっている筈なので、稽古日を後半に固めましょう」という目論みで今日と来週にしたのですが、思惑通りすっかり秋めいてきて、帰りはむしろ肌寒いくらいでした。

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今日も終盤に高校生が何人かやってきました。

そのうちの1人が「明後日から文化祭なのです!」

というので、何の気なしに「へえ、クラスで何をやるの?」

と聞いたところ、

「カジノです!」

と返って来てひっくり返りそうになりました。

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「カジノ!?どんなギャンブルをするの?」

と聞くと、ルーレットやトランプだということでした。

ルーレットは市販のものですが、台は生徒達の手作りだそうです。そしてゲームに勝つと、生徒が持ち寄った景品がもらえるとか。

成る程、そのくらいならば、学校の許可も出そうですね。

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高校の文化祭の出し物というのは、学校や時代によって千差万別なのです。

ちなみに私のいた頃の都立富士高校では「演劇」が8割を占めていました。

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先日の京大宝生会では、吹田東高校宝生会のOGの部員が「明日は高校の文化祭の仕舞の発表を手伝ってきます!」と言っていました。文化祭で仕舞を出す高校生もいるのです。

また別の宝生会部員は、「高校の文化祭ではお化け屋敷のお化けをやって、本気で怖がられました!」お化け屋敷は王道ですかね。

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そして今日最後にやって来た高校2年生に、若干の期待を込めて「文化祭では何を出すの?」と質問してみました。やはり何かとんでもない出し物かもしれません。すると…

「綿菓子屋さんです!」

…意外と普通なのでした。。

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文化祭で面白い出し物をした経験のある方、よろしければコメント欄で教えてくださいませ。

四つ葉タクシー!

今日は午前中から夕方までノンストップで紫明荘組稽古、そこから間髪いれずに京大に移動して、21時過ぎまでみっちり稽古しました。

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その時間まで稽古すると、京都駅まではバス移動だと最終の新幹線に間に合いません。

贅沢だとは思いながら、京大BOX棟の前からタクシーに乗ることになります。

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今日の京都は雨模様だったのでタクシーの需要が大きいのか、なかなか空車が通りません。。

一緒に待ってくれている現役に、「雨だからもういいよ」と声をかけて、1人で待とうと思っていると、ようやく遠くに空車のタクシーが見えました。

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すかさず手を挙げて止まってもらうと、クローバーマークの”ヤサカタクシー”でした。

そして私は瞬時に気づきました。

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「おお!四つ葉タクシーだ!!」


ヤサカの四つ葉タクシー!

普通は三つ葉のクローバーマークが”四つ葉のクローバー”になっている車です。

半ば都市伝説的に噂を聞いていましたが、京都に来てから数十年、一度たりとも姿を見かけたこともありませんでした。

それが遂に私の目の前に…!

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大喜びで乗り込んで、「四つ葉ですね!初めて見ました!!」と興奮気味に話しかけると、「夜道で、乗車される前に気がつく方は珍しいですね。」と笑いながら運転手さん。

そして、「これは記念にどうぞ」と何やら差し出してくれました。


見ると、乗車記念カードでした。

なんと、1300台のうち4台しか無いと書いてあります。

ましてや他の会社のタクシーも入れると、出会えたのは全く奇跡的なことです。

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せっかくなので、運転手さんに色々聞いてみました。

私「四つ葉以外にも、レアなタクシーがあった気がするのですが…」

運転手さん「はい、上賀茂神社さんとのコラボ企画で”ふたばタクシー”があります。それは2台だけです。あとは、バレンタイン期間限定で女性ドライバーの車がピンク色のクローバーになります!」

おお、ヤサカタクシー色々頑張っているのですね!

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私「四つ葉タクシーのドライバーはどうやって選ばれるのですか?」

運転手さん「様々な規定に照らして、会社から任命されるのです。」

その時は、後ろ姿なのに運転手さんがちょっとだけ胸を張ったような気がしました。

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話しながら気がつくと、京都駅に向かう道順がいつもと少し違うことに気づきました。

車は東大路をひたすら南下して、やがて七条も越えた先の細い路地を右折しました。

私「珍しい道を行くのですね…」

すると、

運転手さん「この道をずっと行くと、”京都タワー”が真正面に見えて来るのです。お客様のようにこれから京都を発って行かれる方に、思い出でも無いのですが最後に京都タワーを見ていただきたくて、この道を通るようにしております。」

なんと、たしかに道の向こうには、京都タワーが”ドーン”と屹立していました。

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今日も朝から晩までノンストップ稽古で少々ハードな1日だったのですが、最後に”四つ葉タクシー”に出会えて非常にハッピーな気分になりました。

そして、「乗る人皆が幸せな気持ちになる車」を運転出来るあの運転手さんが、ちょっとだけ羨ましいと思ったのでした。