1700年をかけて…

今日は宝生能楽堂にて能「舎利」の最終確認の稽古をして、チケットのことなど諸々の準備を済ませました。

あとは明日の本番を待つばかりです。

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「舎利」に関して、かねてより疑問に思うことがありました。

「シテ足疾鬼はお釈迦様の入滅の後、泉涌寺に現れるまで何をしていたのか?」

ということです。

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お釈迦様の入滅の時期は、諸説あるようですがおよそ紀元前500年前後のようです。

一方で京都泉涌寺に大陸から”牙舎利”がもたらされて舎利殿に祀られたのは、泉涌寺ホームページによれば1228年のことだそうです。

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つまり釈迦入滅から舎利が泉涌寺に来るまでには1700年ほどの時間差があることになります。

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足疾鬼は釈迦入滅の時に、一度は仏舎利を奪いながら韋駄天に取り返されます。

その時の戦いのダメージから回復するのに1700年かかった可能性はあると思います。

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1700年をかけて完全に復活して、満を持して泉涌寺に向かった足疾鬼。

しかし彼は能「舎利」の最後でも、またしても韋駄天に舎利を取り上げられて、「力も尽き、心も茫々と…」という精根尽き果てた状態で去っていくのです。

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このダメージからの回復にまた1700年かかると仮定すると、足疾鬼が次回舎利を奪いに来るのは西暦3000年くらいになる予定です。

その頃泉涌寺舎利殿はどんな建物になっているのでしょうか?

韋駄天ならぬ最新鋭の舎利警備システムが足疾鬼を迎え撃つ、というSF的ストーリーを想像してしまいました。

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ともあれ明日は、1700年かけて休息した元気一杯の足疾鬼が如何にして「力尽き、心も茫々…」となってしまったのか、その顛末を頑張って演じたいと思います。

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